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2014年緩和医療学会・神戸

今年も、緩和医療学会が終了。8000人以上が参加する巨大な学会。バカボンパパの「これでいいのだ」をテーマに過去最高の人数を集めることとなった。今年初めての取り組みとして「組織委員会」なるものを作ったことがある。昨年までは、大会運営に関わる少数の委員が、全てのセッションを決めていたので、ある特定領域の演題が多くなったり、偏りが出たり、という問題が指摘され、今回は大会で取り上げた方がいい領域を6つに分けて、各領域で積極的に関わっているメンバーを全国から集め、委員会が組織された。ちなみに私は第6グループ「教育・研究・啓発」領域であった。その組織変更の効果か、今回の学会は例年以上に盛り上がり、各セッションも飽きないものが多かったように思う。手前味噌ではあるものの。忘れないうちに、私が参加したセッションについて振り返ってみたいと思う。・輸血についてのpros&conspros&consとは、賛成反対、の意味だが、要は正解が出しにくいテーマについて賛成と反対両方に分かれてディベートを行うというもの。今回のテーマは「輸血」で、胃がんで吐血して入院した、予後が短くなっている患者さんに対し、輸血をするか?しないか?という趣旨だ。私は「しない派」、「する派」は聖隷浜松病院の森先生が務めた。私が臨床倫理の4分割法、森先生はエビデンスを駆使したプレゼンをしたのち、志真先生を患者役としてのロールプレイ。これも、この学会初めての仕掛け。かなり広い会場で500人からの聴衆を前に、リハーサルなし・台本なしのロールプレイをするのはかなりストレス…。その後に、フロアとのディスカッションだったが、若干「する派」が多かったかな?という印象。印象的だった意見としては、数名の医師から「患者さんの意見を十分に入れて、選んでもらうべきでは」というご意見を頂いたこと。私のロールプレイがややパターナリスティックだったためだろうが、まああれは戦略。「インフォームドコンセントで、患者さんや家族に全てを選んでもらうことは時として残酷であり、場合によっては先を見通せるプロとしての医師がリードした意思決定もあると思うよ」というメッセージをあえて伝えるため。その一方で森先生がきちんと、患者さんのご希望などを引き出すようなロールプレイをされていたので、その意味でも対比ができて良かったのではないか。・ランチョン:緩…

腫瘍内科と緩和ケアの統合

腫瘍内科と緩和ケアの統合について、近年論文も発表されてきており、世界的にも注目が集まってきている。

緩和ケアは治療早期から関わることがベスト、という中で、緩和ケア医も抗癌剤治療などの内容に通じていることは重要であるし、腫瘍内科医にとっても、担当する患者さんのうち(専門にもよるが)、半数以上は根治が難しい緩和的化学療法の方であり、自らも緩和ケアを提供できる必要がある。

このように書くと、腫瘍内科と緩和ケアの統合についてのシステム構築や教育研修体制整備はすぐにでも開始すべきである、と思われるかもしれないが、ことはそんなに簡単ではない。
単に、同じ科の中に腫瘍内科医と緩和ケア医がいて、定期的にカンファレンス(キャンサーボードのように)を行っていれば「統合」されたことになるのか?それは必ずしも真ならず、だろう。腫瘍内科医、緩和ケア医の双方が、お互いの領域をある程度カバーできるくらいでないと、実際には「統合」されたとは言い難い。まずは双方の教育こそが大切である。

しかし、どのように教育研修体制を作っていけばいいかも、わかっていない。研修医が腫瘍内科を半年、緩和ケアを半年、ローテート研修すればそれで学んだことになるのか?それとも、腫瘍内科も緩和ケアも一緒に学べるような部門を設立した方が良いのか?
そもそも、本邦においては腫瘍内科も緩和ケアも、専門科としては新しい部類に入る分野であり、大学での講座も少ないし、ましてや両者が統合されて教育を行っているところはもっと少数である。
これは、大学だけではなく、市中病院などについても同じ事が言える。

当院では、来年から正式に私が「腫瘍内科」を標榜し、消化器癌の臨床と院内のがん治療体制の整備を行っていくことになった。ただし、ケアセンターから大きく離れるわけではないので、これまで緩和病棟・緩和チーム(緩和ケアセンター)・在宅ケア・地域包括ケアを一手に行っていた、かわさき総合ケアセンターに、腫瘍内科としての機能が加わることになる。
うちのボスは「抗癌剤治療から緩和病棟、在宅ケアまで。がんも非がんも」1つのセンターで臨床・教育を行っていくことを考えているようで、これが実現していけば、当院はかなり最先端な教育研修施設となりうるのではないかと期待している。

腫瘍内科と緩和ケアの統合、そしてそのための教育を日本で展開していくための道のりは遠い。しかし、…