「余命の告知」についての書籍を発売します!

「自分があとどれくらいの時間をこの世で過ごすことができるのだろうか」と考えたことがある方は、どのくらいいらっしゃるでしょうか。一度くらいは考えたことがある方はいらっしゃるかもしれません。しかし、それを日常的に考えながら過ごしている方となれば、数はぐっと少なくなるでしょう。

そこで、想像してみてほしいのです。突然あなたの前に現れた誰かが「あなたに残された時間はあと3か月です」と告げるということを。その時あなたはどのように感じ、そしてそれを告げた人物に対し、どのような感情を抱くであろうかということを。

「余命を伝える」ということは、医師にとっても難しいコミュニケーションのひとつです。
それにもかかわらず、それを学ぶ場というのは限られており、医師は日々試行錯誤しながら、患者さんや家族との対話に臨んでいます。

そこで今回、青海社さんから
大切な人に「残された時間」を告げるとき -余命の告知Ver. 3.1
というタイトルで、本を出版する運びとなりました。新城拓也先生、吉田沙蘭先生、武見綾子さんをはじめ、多くの方々にご協力いただいてできた本です。
6月頃に刊行の予定ですが、今回は作画を担当頂いたこしのりょう先生、青海社さんの御厚意で、書籍内のマンガ部分を特別に事前公開いたします!
ちなみに、このマンガは3部あり、残りの2部についても随時公開していく予定です。



症例山田孝規さん(68歳 男性)

山田さんはもともと、神奈川県内で酒屋を営んでいましたが、3年前に長引く咳のため近所のクリニックを受診したところ、右肺に腫瘍を指摘されました。
都内の大学病院を紹介され、肺癌と診断され手術を行いましたが、その1年後に肺内に転移再発となりました。その後、抗がん剤治療を続けてきましたが、1週間前に撮影したCTで肝転移が出現しました。
体力も低下傾向でこれ以上の抗がん剤治療は難しいと、医局内のカンファレンスで決定され、この大学病院には緩和ケア病棟はないため、今のうちに地元へ帰って過ごすよう勧める方針となりました。
本日は外来で、本人・奥様(62歳)が同席の上で上記について主治医から説明を行う場面です。


さて、このマンガのような場面は実際によくある場面のひとつです。

ここでのポイントは、余命を告知する医師のなかで、悪意をもってこのようなことを言っている例はほとんどいないということです。善意を持っているからこそ、例えばこのマンガの例でも
「残された時間を正確に把握して有意義に使った方がいい」
「抗がん剤でこれ以上体力を落とせば、やりたいこともできなくなってしまう」
「その決断のためには厳しい現状をきちんと伝えないといけない。だから余命も正確に伝えるのだ」
と考えています。

 他にも、このように余命を伝える医師側の思いとしては、
「求めがあれば本人の個人情報としてきちんと開示すべきだ」
「海外や他の病院でも、そう伝えるものと聞いた」
「適切な時期に緩和ケアを受けてもらうために、残された時間の短さを自覚して、早く転院してもらったほうがいい」
といったものがあると考えられます。

 しかし、それでもこのマンガの場面の後、実際に緩和ケア科に紹介になった患者は、緩和ケア医に対して「余命は『半年』ってバッサリ言われちゃいましたよ、ハハハ…」と、冗談めかして告げたり、「もう『半年』しか生きられないっていわれて…。好きなことをやれと言われても、そんな気分になりませんよね…」と涙を浮かべながら語られたり、ということが起きます。医師は良かれと思って告げているのに、患者の方ではそう受け取られていない、そういった食い違いがひとつの問題点です。

では、どのように伝えていくのがよいのでしょうか?
その具体的な方法については、また次回のブログでお伝えしていきたいと思います。
今後の公開を、お楽しみに!



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