モノシステムからマルチシステムへ

皆さんこんにちは。
今日は、「モノシステムからマルチシステムへ」という話。
要は、医師‐患者関係という単一の関係からの患者の解放というお話です。


これは、図にも示したんですけど、少なくとも20世紀後半から2010年くらいまで、「医師と患者はマンツーマンの関係」というのが、患者側にも医療者側にもあったんですよ。

それが「チーム医療」という名の下に、患者も含めて看護師や介護士や薬剤師など他の職種も全員でチームを組んでやっていきましょうというのが提唱されてきた。
でも、実質的なリーダーは誰か、というと大体の現場では医師がそのリーダーを担っていて、他の職種は医師に指示されるがままに動いている「チーム」なんていうのもたくさんある。そして外来を持っているのもほとんどは医師だから、結局のところ「医師-患者関係」というのが最も重要な関係性となることは構造的に当然なわけ。

これが、いわゆるモノシステムの世界で、もちろんその医師が優れた名医であれば問題ないんだけど、多くの患者は医師を選ぶことはできないわけで、場合によってはこの医師‐患者関係に患者がしばられてしまって、苦しい関係性から抜け出せないという場合も多々ある。
「主治医の先生と上手くいかない、私の気持ちをわかってもらえない」
なんていうのはよく聞く話。
医師の方が一般的に多くの情報や治療方針決定についての権限を持っているため、患者は自分の体のことにも関わらず、相対的に弱く脆い立場におかれている。

この問題を解決するために、これからはマルチシステムの採用が主流となるし、そうしていくべき。
マルチシステムでは、医師‐患者という単一の関係性から、その医師とは利害関係のない第三者の介入が入ることで、患者や家族がエンパワメントされ、対等な医師‐患者関係を築いていこうというもの。
例えばうちらが取り組んでいるプラスケア(暮らしの保健室)の機能はまさにそれ。
暮らしの保健室を利用することで、病院ではできない情報整理を行ったり、診察室への看護師同行などを行うことも、そのマルチシステムの一環ということ。
病院内の看護師や相談員でも、もちろんこの役割を果たすこともできるんだけど、組織に従属している意識だと、患者・家族側に立てない(利害関係がある)からマルチシステムにならない。時には組織や医師に反抗しても、患者・家族側に立つ勇気があるかが問われるわけだけど、そんな肩ひじ張らなくてもできる方がナチュラルだよね。

このマルチシステムが主流となれば、それこそ真のチーム医療が実現され、患者や家族は自分の生き方を自分で決められるようになる。
医師だって、このマルチシステムが機能すれば、コミュニケーションエラーによるストレスの軽減や、診療時間の短縮にもつながるので良いことしかない。
既にアメリカにおいてLay Navigationという名で、このシステムの研究が進んでいるが、日本でもこのシステムの導入をこれから図っていくつもり。
今はまだ医療者主導でシステムを動かしているけど、これからは市民の方々にも参画いただきながら、一緒にこのシステムを回していくことも重要である。

応援のほど、よろしくお願いいたします。

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